洋菓子のカワグチのバームクーヘンは先代が修行したドイツの伝統的製法で作っております。そんなバームクーヘンに刻まれる年輪の秘密をご紹介いたします。
バームクーヘンは生地作りから始まります
生地作りは最初にバターを立てます、このバターの立て方が仕上がりを左右する重要なポイントです。夏は暑さでダレない様に気を配り、冬は寒さで硬いのをゆっくりほぐして行きます。バターが立ってきたら卵を加えて乳化させ、バターの油分と卵の水分を混ぜ合わせて繋げます。しっかり空気を抱き込んで乳化することで柔らかい食感に仕上がります。
使用する小麦粉は小麦の中心に近い部分を挽いて作られた吟醸タイプで、しっとりとした口溶けの良い生地になります。バターはよつ葉バターと、風味を高めるためにルミナスグランデという発酵バターを使用しています。その他もシンプルですが最高の材料を使わせて頂いています。


焼成前
バームクーヘンはオーブンの中に渡した芯棒に生地を垂らしながら成形して行くのですが、焼成後に芯から抜くときに芯棒に生地が付かないようにグラシン紙を糸で巻き付けていきます。地味な作業ですが細かい技が必要になる作業です、焼成前に気持ちを整える大切な工程にもなります。

焼成
バームクーヘンの生地を芯棒に少しづつ足して先に乗った生地と合わせていきます。焼ける生地の状態が均一になるように、最小の手数で調整します。これより小一時間、生地が無くなるまで、年輪を重ねるよう、一層、一層、焼きを重ねます。火に近い奥の少し焼けた生地と合わせて、均一にしていき焼かれるギリギリまで生地を整えていきます。生地を付けては焼き、生地を足し整える作業を繰り返してながら仕上がっていきます。均等に焼成するため生地の付き具合と焼き色を調整するのは朝の集中力が一番高まる時間です。
焼成で使用しているオーブンは40年以上前の東京は台東区の町工場の一点物です。現在はデジタルオーブンが主流で生地に熱が回らない使い易いオーブンが多くありますが、人の経験と技で焼き上げる良さもあると、前に立つだけで火傷しそうな熱さですが、先代から受け継いだ味と共にこれからも大事に使い続けて行きたいと思います。


塗り
焼成模様も小一時間する頃、オーブンから芯棒を外して焼き上がりです。厨房は焼き上がったバームクーヘンの香りで満たされます。粗熱がとれたら、あんずジャムとフォンダン(※)でコーティングした後にカットして仕上がりです。フォンダンを塗る作業も暑かったり、寒かったりで加減が変わってきます。フォンダンは生地に対して固さがあるため、1度に塗ろうとするとハケで生地を削る可能性があるので、2度塗りを行います。生地に練り込んだシナモンの香り、あんずジャムとフォンダンの酸味と甘味が、バームクーヘンをほおばった時に口に広がり幸せな気持ちになります。Lサイズをお召し上がりの際は、是非大き目にカットしてご賞味ください。
※ フォンダン(fondant) 砂糖を再結晶させた物でフランス語で柔らかいという意味があります。砂糖を加熱して温度が下がる過程で、水飴や水分を足して撹拌(かくはん)することで舌触り柔らかな結晶になります。年輪の外側の白い化粧飾りがフォンダンです。


カット
バームクーヘンのカットで、1本のバームクーヘンを1個ずつに切り分けていきます。オールドファッションドバームではSサイズで40個、Lサイズで15個取れます。少しズレるだけでサイズが合わなくなるので、これも緊張する作業です。1回目で切れ目を入れていき2回目でしっかりと切り分けていきます。




